いつ産むかを自由に決める権利がすべての人にある。
つい先日、こんなニュースがありました。
卵子凍結、健康女性562人…40代3人が出産(Yahooニュース内 読売新聞)
これまでに、病気以外の理由で卵子を凍結した女性が562人、
そのうち凍結した卵子を解凍して使ったのは31人、
これまたそのうち出産したのが3人。
「自分が子どもを産む能力をあと何年持っているのか心配…」
「いつかは子どもが欲しいけど、今はまだ…」
という女性には、とっても心強いニュースですね。
ご存知かもしれませんが、精子は毎日作られるのに対して、卵子は女性が生まれたときに既に数が決まっています。
生理が始まれば基本的には毎月排卵され、数が減っていき、残り0個になると、自分の子どもはもてなくなってしまいます。
健康な若い女性でも、婦人科に行って検査してみたら残りの卵子が思った以上に少なかった…!ってこともあるそうです。(不妊治療現場で働いている友人談。)
さらにさらに、現代は「女性も働け!」と尻を叩かれる時代です。
一億総活躍とか言ってるし、そもそも共働きじゃないと金銭的にやっていけなかったりする。
なのに、もし子どもが産まれたとしても保育園に入れられなかったら仕事をやめなきゃいけない…
辞めたら生活が立ち行かなくなるかもしれない。そんな状況で子どもは産めないですよね…。
でもいつか子どもを産みたい!
って人に、卵子凍結は強い味方です。
さて、この記事にはちょっと引っかかるところがあります。
"「母子への健康リスクが高い高齢出産を助長する」と懸念する声もある。"
という一文です。
高齢出産を "助長" する とな?
…なんだか、高齢出産が悪いことみたいです。
「母子への健康リスクが高い」というのはもちろん、その通りです。
誰だって、可能なら、タイミングが合えば、それなりに若いうちに産みたいでしょう。
でも、それができないから、何十万、何百万とお金を出して卵子凍結に踏み切るのです。
経済的な理由。相手の有無。キャリア。第一子との間隔。
様々な事情に苦しみ、それでも子どもが欲しいと思った人が、高いお金を出して、卵子凍結に踏み切っているというのに、"助長"だなんて言葉を使うなんて。
何も知らない読者に「卵子凍結=高齢出産=悪」みたいなイメージをうっすらと植え付けてしまうじゃないですか。
読売新聞の記者さんはプロとして仕事をしていらっしゃるなら、そのあたりはしっかりしていただきたい。
全ての人には、子どもをもつかもたないか、いつ産むのか、決める権利があります。
国内法・国際法および国連での合意に基づいた人権の一つです。
リプロダクティブ・ライツと呼ばれています。
日本語に直訳すると「産む権利」と言ったところですが、産むだけではなく、産まない権利、出産の間隔、出産する時期を自由に決めることができる、という権利です。
子どもを産むことは男女がそろっていないと難しいですから、女性だけでなく、男性にもその権利があります。両性の話し合い・合意によって決められることが多いでしょう。
人間にはこのような権利が国際的に認められているのですから、新聞記者がうっかり高齢出産を批判するような表現をしてはいけないと思います。
高齢出産のリスクが、そうでない出産と比較して大きいのはリスクです。
知った上で選んでいるはずです。
リプロダクティブ・ライツは20年も前からある言葉ですが、あまり知られてはいないようです。
この機会に、ぜひ一度知っておくことをオススメします。
参考サイト:家族の性と生を考えるプロジェクト
そういえば、最近、子どもを意図的に持っていない宣言をした女優さんがいましたが、私自身は、ああいう生き方にもちょっと憧れています。悩ましいです。